第16章 Miximax!〈遠坂 雪音〉
目を覚ますと、病院のベッドだった。真っ白い世界には見覚えがある。ここ…稲妻総合病院だ…。現代に、戻ってきたんだ…。
「雪音!気が付いた…!」
『菖蒲ちゃん…?』
「1ヶ月も目を醒まさなかったんだよ!心配したんだから…!」
『つ、剣城君は!』
「今頃宇宙の彼方を旅してるんじゃない?」
『…ん?』
「本当はね、FFIV2っていうのが開かれていたんだけど…実はそれ、宇宙の中の星同士の戦いだったらしくて。それで、今は宇宙まで赴いて試合してるってわけ」
『そうでしたか…。太陽君は…?』
「残念ながら、今回は選ばれなかったみたい。本人も少し気にしてるみたいだから、あんまり触れないであげてね」
『はい』
宇宙って…あんまり想像してなかったけど…。なんか凄い規模の戦いしてるんだろうな…。
「そういえば、今日は宇宙で頑張ってる人達と雷門中で通信するんだって。行く?」
『行きます!』
私が起きたって事も言わなきゃいけないし、それに…。京介君の顔が見たい。
「それじゃあ行きますか」
『え?』
「起き次第、退院して良いんだって。いつでも退院出来る様に準備はしておいたから、行こっか?」
『はい!』
雷門中へ向かう前に着替えて、菖蒲ちゃんに髪の毛を整えて貰った。
「本当、サラサラだね、髪の毛」
『一応手入れはしてましたから』
「準備オッケー?」
『はい、大丈夫です!』
ポニーテールを揺らして、元気良く歩いていく。楽しみだなぁ。皆に会えるんだ。かれこれ1ヶ月ぶりだし、ラグナロクの最終決戦だって力になれなかった。
「着いた」
『何だか、懐かしく感じちゃいますね』
「そうだね」
サッカー棟を目指して歩く。相変わらず変わらないなぁ、ここも。
『皆さん、お久しぶりです』
「雪音!起きたのか!」
『ついさっき!』
「ついさっきって…大丈夫なのか?」
『はい。化身アームドとミキシマックスの疲れだそうですので…』
「そうか。それなら、今から通信始めるぞ。良いか?」
『はい』
画面の向こうには知らない顔が一杯。天馬君や、神童先輩。それに京介君も…。って、待って。皆、気付いてないの?あの人、京介君じゃない…!
『っ…!』
「雪音⁉︎」
豪炎寺さんに言えば、何とかなるかもしれない!急がなきゃ…!
ププー
赤信号の横断歩道を飛び出た瞬間に、大きなトラックの影が見えた。