第13章 おひな祭り
「これとコレを乗せて…んで巻けば…」
そうブツブツと呟きながら料理をしているのはギルドの料理長であるカヤバ。
トンッ…、包丁で端を切り、断面を見たカヤバはニヤリと笑いながら頷く。
「ふわぁ〜…おはようございますカヤバさん。何か良い匂いがしてますが……
あれ? この巻いた物って以前食べたのと同じですね。
でも中身が違うし、絵が出来てる」
眠気がまだ残っている様子のラシルにカヤバは笑いながら言う。
「ハハハハ…まだ眠そうだな。コレか?
この料理はなアクフォートへ旅してた時に仕入れた向こうで伝わる文化を表した奴だ」
「この良い匂いをするこの丸い物も?」
「そうだ。あられっていうお菓子でな旨いから食べてみろ」
ラシルはあられを数個取って食べる。
「ッ!? 美味しい♪」
「だろ? コレならチビ共も喜ぶだろうと思って作った」
「アクフォートかぁ…まだ行った事が無いからいつかいってみたいなぁ…」
「お前ならいつか行けるだろう。このひし餅ってのも旨いぞ?」
「モグ…ッ!? モチモチで味が違う餅の香りのハーモニーが良い♪」
「ラシルは舌が肥えた奴等と違うから素直な感想が聞けるから有り難いよ」
「アハハ…舌が肥えたってまぁ…貴族の人が全員がそうって訳じゃないと思いますけど…
コレ…学園の仲間にも食べさせてあげたいです」
「レシピなら簡単だから教えてやるぞ?」
「ありがとうございます! カヤバさん!」
嬉しく笑うラシルを見てカヤバも微笑む。
その日のお昼ご飯とおやつはおひな祭りのメニューで全員がほっこりしていました。