第4章 雪待月の縁結び
学園長は部屋で書類の処理を一通り終わらせ、ふと窓の外を見る。
灰色に曇る空からチラチラと雪が降っていた。
「今年も冬が来たか…」
学園長…アレン・マネキア。50代なのにその美貌は衰えを知らない。
だが、そんな彼には彼女と呼べる相手は居ない。
浮いた噂等も皆無なのである。
アレンは引き出しからひとつの栞を取り出す。
今はもう何処に居るのか分からない女性から貰ったスノードロップ。
今年の縁結びがどうなるか占ってもらったが良い結果が出なく。
雪が降っていて待ち人も居ない中、フラフラと街並みを歩いて居たそんな矢先に自分より少し上に見える女性が恐喝紛いにあっている場に居合わせ、撃退すると彼女がこの花をお礼にとくれたのだ。
雪がいつの間にか止んでいて、満月が辺りを優しく照らしている中で彼女は花について話始める。
「このスノードロップの花言葉に希望がございます。貴方様の進む先に
希望が待っております。ですから決して歩みを止めないで下さいませ」
そう言って微笑む銀色の髪を綺麗に纏め上げ、温かな橙色の瞳を持つ彼女を見て、胸がときめいた。
彼女は直ぐに何処かへ帰ってしまったが、冬になるとどうしても思い出してしまう。
でも彼女が学園の生徒の家でメイド長をしていて、先日亡くなったと聞いた時はショックもあったがこのスノードロップが何故か不思議と元気をくれるのだ。
「もう一度君に会いたかったな…」
アレンはそう呟くとスノードロップの栞を引き出しに終う。
でも彼女に似ている女性と巡り逢える日はそう遠くない日だった。
END