【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第150章 ◇第百四十九話◇戦場の天使は剣を振るう【女型の巨人編】
世界で最も内側にある壁の上に、ルーカスはいた。
ストヘス区内門の壁上からは、血染めの戦場がよく見えた。
人類のためか、己のためか、命を懸ける集団がそこにいた。
これが、兵士達の戦う姿なのかー。
だからといって、考えが変わるわけではない。
でも、ただただ、これが兵士の戦いなのかと思った。
その中から天使の姿を見つけるのはとても簡単だった。
幸せになるために着たはずの真っ白なウェディングドレスはボロボロに破れ、彼女が空を飛ぶ度に真っ赤に染まっていく。
せっかく、王族の親族の男が、一生幸せにすると言っているのに、絶対に守ると、こんなにも愛しているのにー。
それでも、巨人と戦うことしか教えてくれないような男を選ぶのか。
本当に馬鹿な女だと思う。
でも、どうしてだろう。
思い出してしまうのだ。彼女が言っていた言葉をー。
『リヴァイ兵長は、私に自由に空を飛ぶ翼をくれたの。
自由には責任も伴うし、命懸けだけど、空から見る景色は最高だって知ってしまったら
もう地面には降りてこられない。そもそも空高く飛んでる私達の翼は誰にも折れない。』
翼とは白い天使の羽のことだったのだろうか。
でも、彼女が天使だということは、ルーカスだって知っていた。
だから欲しかった。
彼女の優しい微笑みとすべてを包み込むような愛、それがあれば、幸せになれると思ったのだ。
何でも手に入れてきたのに、何もこの手に残らなかった自分の人生も、少しは意味があるものになるんじゃないかとー。