【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第149章 ◇第百四十八話◇命懸けの幸せを守るために走れ【女型の巨人編】
「俺に命令とはいい度胸だな。今すぐ、兵団トップから引きずり降ろしてもいいんだぞ。」
ルーカスが低い声で言って、ピクシス指令を睨みつける。
すぐに駆けていった駐屯兵を見送りながら、ピクシス指令が答える。
「人類の存続のためなら、こんな老いぼれの首なんか喜んで差し出すわ。」
「な…!?」
「この104期の調査兵は、とても聡い兵士だ。そんな彼が、劣勢の戦況に仲間を残し、
王都にまでやってきたのを見れば、その理由は明らかじゃ。
この状況をひっくり返せるのは、しかいないと判断したんじゃろ。」
「はいっ!さんの力が必要なんです!!その手を放してください!!」
アルミンは、ピクシス指令という強い味方が現れたことで、悲壮な表情に少しずつ強さを取り戻していった。
だが、ルーカスは許さない。
「人類の存続のためなら、俺が手を放すと?はっ!まさか!
俺はと結婚する。は俺のだ。そもそも、彼女はもう調査兵じゃないんだ!
戦場に出ていくことなんて、許されない!!」
「そうか。では、本人に訊ねよう。」
ピクシス指令は、そう言うと私の方を見た。
「君はそこの男のものか?それとも兵士か?」
左腕をルーカスに掴まれたまま、私は敬礼で答える。
「私は意思のある人間です!
そして、調査兵団第四分隊ハンジ班所属、・であります!!」
「よし、見事な敬礼だ。では、ワシから指令を下そう。
至急、ストヘス区へ向かい、鎧の巨人からアニ・レオンハートを死守せよ!」
「はッ!!」
兵士として生きることを選んだ私の腕から、ルーカスの手を放そうとピクシス指令が掴む。
自分のことを老いぼれと呼んだ彼だが、兵団トップに長らく君臨していられるだけの実力者だ。
だが、それでも、ルーカスは掴まれた手首の痛みに顔を歪めながらも、絶対にその手を放そうとはしなかった。
彼もまた、強い意志を持って、私の足をこの場所に縫い付けようとしていた。