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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第148章 ◇第百四十七話◇誓いの言葉を言わせないで【女型の巨人編】


両開きの扉を侍女達がゆっくりと開く。
少しずつ開けていく向こうには、豪華絢爛な装飾で彩られた世界が広がっていた。
そこはさながら、絵本の中で最も幸せなフィナーレだった。
王子様とお姫様が手と手を取り合って、愛を誓う。幸せの場所。
扉がすべて開けば、私の姿を見たときの母親と似たような顔をしていた父親が、緊張した面持ちで私の手を引いて歩きだした。
ザワついていた式場が一瞬で静まり返り、世界一幸せに違いないと噂される花嫁を今か今かと待っていた招待客達の視線が集まる。
私の幸せを信じて歩く父親に手を引かれ、一歩、また一歩、私は歩みを進める。
真っ赤な絨毯の先で待っているのは、真っ白なタキシードを着こなす金髪の王子様。
この残酷な世界の王子様ー。
娘を導いた父親に花嫁を託されたルーカスが、白いレースの手袋をつけた私の手に触れる。
そして、とても感動したように頬を緩めた。

「あぁ、とっても綺麗だよ。僕の、僕だけの…。
 これで君は本当に、永遠に僕のものだ。」

ルーカスは、ベールの上から私の頬を愛おしそうに撫でる。
とても、とても幸せそうに。
ベールの上からでは、私の悲しい瞳は見えなかっただろうか。
この式場には、大勢の人がいるのに、私の悲痛な心の叫びは誰にも届かないー。
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