【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第144章 ◇第百四十三話◇引き裂かれる2人【女型の巨人編】
私を抱きしめる腕の力がゆっくりと弱くなっていく。
そして、私の背中にまわるリヴァイ兵長の手が少しずつ離れてー。
「おいで、。君がいるべきところは、僕だよ。」
ルーカスが私の腕を引く。
ゆるく抱かれていた私の身体は、いともたやすくリヴァイ兵長から離れていった。
ショックを隠せない私の顔を、リヴァイ兵長は眉を顰めて、ひどく息苦しそうに見上げていたー。
それを見れば、喜んで手を放したわけではないとすぐにわかるのにー。
「いや…、リヴァイ兵長…?どうして…?」
リヴァイ兵長に伸ばした手は空を切り、強引に立たせられた私は、ルーカスに抱きすくめられる。
勝ち誇った顔で見下ろすルーカスに、リヴァイ兵長は漸く立ち上がったけれど、私を奪い返そうとはしてくれなかった。
「必ず迎えに行く。」
リヴァイ兵長は、ただ一言そう伝えただけだった。
父親とルーカスに無理やり引きずられる私を追いかけることはしないで、見送るリヴァイ兵長に必死に手を伸ばす。
必ず迎えに行くとはどういう意味だろう。
そんなの待てない。
私はずっとリヴァイ兵長のそばにいたい。
だから、今、私を守って。奪い返して。
どうして、今じゃないの。
どうして、私の手を放したの。
死ぬまで一緒だと約束したのにー。
兵門を出るところで、泣き喚いて抵抗する私を見つけたミケ分隊長とナナバさんが駆けつけてくれて、父親とルーカスを説得しようとしたけれどダメだった。
このままを帰さないと、民間人を強制的に調査兵団に入団させたことを公表すると脅され、引き下がってもらうしかなかった。
王都にあるお城のようなお屋敷に向かう豪華な馬車に揺られながら、私はひたすら泣き続けていた。