【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第143章 ◇第百四十二話◇すくうために許し合えたら【女型の巨人編】
こんなことまで言うつもりじゃなかったのにー。
何でも優しく聞いてくれるから、調子に乗った。
あぁ、本当に最悪だ。
子供だと思われたに違いないー。
そんな私の頬を、リヴァイ兵長の両手が包んで、少し強引に上を向かせた。
目が合うと、リヴァイ兵長が口を開く。
「そんなこと、考えてたのか?」
「…っ、忘れてください。間違えました。」
「嘘つけ。間違えてねぇーだろ。」
「だって…っ、名前で呼びたいのにとか子供みたいだしっ、
それに、私は部下なんだから、そんなことできないの分かってます…。」
顔を伏せそうになるのを、リヴァイ兵長の両手が許さない。
そして、少し困ったように、でも、優しく言う。
「は確かに俺の部下だ。でも、その前に恋人だろう?
好きなように呼べばいい。俺だって、どうでもいい女に名前を呼ばれるより
に呼ばれてぇに決まってるじゃねぇーか。」
そう言うと、リヴァイ兵長はまた、私に短いキスをした。
ほんとに一瞬だけ唇が重なった後、リヴァイ兵長は私の両頬を手で包んだまま、お願いするように言った。
「名前で呼んでみてくれ。俺も、聞いてみてぇ。」
リヴァイ兵長には珍しい、少しだけ甘えるような表情。
私は、口を開きかけては閉じて、目を見つめては逃げるように反らして、願望と照れ臭さの間で揺れ続ける。
なんとか勇気を出して名前を呼ぼうとしても、結局恥ずかしくなって出来なかった。
「リヴァ…イ、兵長。」
「なんでだよ、違ぇーだろ。」
「だって、恥ずかしいです…。」
「ひとの名前が恥ずかしいとはなんだ。」
「違います…!リヴァイ兵長の名前はカッコイイですっ!」
「本気にすんな。」
呆れた様にため息つきながら、リヴァイ兵長は私の髪をクシャリと撫でる。