【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第134章 ◇第百三十三話◇伏せられた作戦と女型の涙【女型の巨人編】
私が飛ばした立体起動装置のワイヤーが女型の巨人の頭に刺さると、巨人の手ごとうなじを削ごうとしていたリヴァイ兵長とミケ分隊長の動きが止まった。
その横を私は猛スピードで飛び上がる。
落ちた先は、女型の巨人の右目の前だった。
超硬質スチールを右目に刺し、女型の巨人を睨みつける。
「!!何やってんだ、すぐそこをどけ!!」
リヴァイ兵長が怒鳴った。
でも、絶望に頭を支配された私には聞こえない。
聞こえないのだ。
フロリアンの幸せそうな声とか、笑い声とか、悪戯にからかう声とか、そればっかりが響いているからー。
「ねぇ…、教えてよ…。どういう理由で、人間を殺すの…?
そこに、正義はあるの…?あなたに、心はあるの…?
その巨人の目を通したら、私達人間は、どんな風に見えるの…?」
右目に刺さる超硬質スチールを、もっと深く食い込ませてグリグリと手首を捻る。
人が死んだのを見ても、何とも思えない目なんて要らない。
そんな目ならなくなればいい。
もう二度と人を殺せないようにー。
「何をやっている!を引き剥がせ!!」
エルヴィン団長が、調査兵達に叫んだ。
呆気にとられていた彼らが動き出したのを視界にとらえても、私は憎い敵の前から動かなかった。
「ねぇ…、教えてよ…っ!どんな大義名分があったら、人を殺せるの…!?
ねぇッ!!なんとか言いなさいよ!!いつまで隠れてるつもり!?!?
私達は命を懸けて戦ってるのに!!そうやって死んだのに!!!」
「っ!危ないから離れよう!!」
モブリットさんの腕が私の腰に強引に回り込み、女型の巨人から引き剥がす。
その腕を無理に引き剥がそうとしながら、私は叫び続けた。
「私の、友人が死んだ…!仲間が、たくさん死んだ…!
あなたが殺したッ!!あなたに心があろうが、なかろうが!!
どんな正義掲げてようが!!私はあなたを許さない!!絶対に!!」
「っ!危ないから、暴れるな!!」
「あなたは、この世に生まれてきちゃいけなかった…!!
あなたさえいなければ、私の友人達はっ、仲間はっ、死んでなかったんでしょう!?
ねぇ、私の友人を!!仲間を!!返して…っ、返して、よぉ…っ。」
憎しみと悔しさばかりを乗せて放たれた怒りは、大切な人達への想いが溢れて、次第に涙に震えて小さくなっていった。