第133章 ◇第百三十二話◇花嫁達よ、いざ地獄の行進へ【女型の巨人編】

フロリアンが左手を前に伸ばせば、太陽に照らされて指輪がキラキラと輝いた。
反対隣りでは、オルオがペトラに、壁外調査が終わったら誰より大きな宝石のついた指輪を買ってやると豪語している。
でも、あまり大きな宝石は邪魔だから要らないと冷静に拒否されて、撃沈した挙句、舌を噛んだ。
うん、彼は今日も絶好調だ。

「壁外調査前に、こんなにほのぼのとした光景を見られるなんて思わなかったよ。
　あれ？ここは、外門前の馬上じゃなかったっけ？」

振り向いたハンジさんが、とぼけた様子で首を傾げた。
その隣では、リヴァイ兵長がため息を吐いた。

「お前ら、幸せボケで死ぬんじゃねぇ―ぞ。」

リヴァイ兵長から愛のあるお叱りを受けた彼らは、元気に返事をする。
大丈夫、誰も死なない。
だって、こんなに幸せな世界を残して、誰が死にたいと思う。
死んでいいわけがない。
生きて帰ってくることを心から願ってくれる人が、一緒に歩む未来を信じてくれている人がいるのだからー。
エルヴィン団長の鬼気迫る号令が叫ばれた。
外門が開くー。

「帰ってきたら…！結婚しよう！！！！愛してる！！！！」

フロリアンの彼が、愛を叫ぶ。
恥ずかしいからやめて、と困ったように言うフロリアンもとても嬉しそうでー。

「じゃあ、行ってくるわね！私も、愛してるから！」

幸せになるべき未来を背負う私達を乗せた馬が、地を翔ける。
自由を目指して、ただひたすら続く地獄へー。