【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第131章 ◇第百三十話◇深い愛は試されて、傷をつけて【女型の巨人】
「傷つけて、悪かった。」
「いえ、お仕事なら、仕方ないですから…。」
部屋に戻った私とリヴァイ兵長は、いつものようにソファに並んで座っていた。
誤解は解け、リヴァイ兵長の腕の中に抱きしめられても、私達はまだ気まずいままだった。
たぶん、2人とも気づいているからだ。
今日のはただのきっかけに過ぎなくて、本当はその前から、私達には綻びが出来ていたことを。
それから目を反らしていただけで、確かにあった綻びが、こんな事態を生んでしまったのだと。
リヴァイ兵長はきっと、傷つけてしまったと自分のことを責めながらも、信じてもらえなかったことに傷ついている。
私は、信じられなかった自分を責めながら、どうして断ってくれなかったのか、せめて教えてくれたらよかったのにと、本当はリヴァイ兵長を責めている。
でも、私達はお互いの心の内を話さない。
お互いに、相手が何を思い、何を考えているか、薄々気づいているくせに、また目を反らす。
分からないからだ。
薄く見えている表面の先、その奥に、どんな答えが隠れているのかが分からなくて、確かめる勇気がなくて、口を噤む。
それが、正しい選択ではないことは、分かっているくせにー。