【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第130章 ◇第百二十九話◇会いたくない【女型の巨人】
漸く私を見てくれて、リヴァイ兵長と目が合った。
言いたいことは、一つだけ。
「ずっと、そうやって、私のことを裏切ってたんですか。」
「聞け、俺はー。」
「信じてたんです。ずっと…。最近、会えなくても、おかしいと思っても、ずっと…。
変な噂を聞いても、ずっと…。信じて、たのに…。」
リヴァイ兵長は、涙に驚いているようだった。
どうして、泣かないとでも思ったのだろうか。
リヴァイ兵長みたいに平然としていたらおかしいでしょう。
だって、私はリヴァイ兵長が好きなのにー。
「違ぇ、俺はー。」
焦ったように私に伸ばしたリヴァイ兵長の手は、美女に掴まれて私には届かなかった。
「あなたがリヴァイ兵長の恋人?へぇ~、そうなんだぁ~。
あのリーゼントの人達が言ってた通りね。
まぁ、やっぱり、私の方が美人だけど。」
美女は、リヴァイ兵長に抱き着いたままで、私を品定めするみたいに上から下までを舐めまわすように見た。
そして、勝ち誇ったように口の端を上げる。
濃すぎないけれど、しっかりしている化粧と綺麗にカールした髪。長い爪には薄いピンク色が乗せられていて、細くて綺麗な指は怪我とは無縁のようだった。
レースの可愛らしいワンピースを纏う女性らしい彼女には、兵団服の女なんて、女には見えなかったに違いない。
「ねぇ、私にリヴァイを頂戴よ。」
「い…っ、いや…!」
気づいたら、必死に首を横に振っていた。
浮気相手に抱きつかれている恋人を、それでも泣きながら繋ぎ止めたいと願うなんてー。
自分が惨め過ぎた。
でも、好きなのだ。大好きで。愛していて。
だから、リヴァイ兵長から別れようと言ってもらえないと、私は手放せない。
どんなにひどいことをされても、手放せないー。
「いいじゃない、私の方がリヴァイにはお似合いよ。
それに、リヴァイも、あなたとは絶対に結婚しないって言ってたわよ。」
「おい、黙れ。それ以上喋ったら、もう許さねぇぞ。」
「あなただって、自分と結婚してくれない男と一緒にいるのはツラいでしょう?
新しく素敵な恋人探しなさいよ。その方が、あなたの為よ。」
堪えきれず、背を向けるとき、美女の勝ち誇った笑みが見えた。
悲しい。苦しい。悔しいー。
「待て!!!!」
走って逃げる私の後ろを追いかけてきたのは、名前を呼ぶリヴァイ兵長の声だけだったー。