【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第127章 ◇第百二十六話◇花嫁になり損ねたブライズメイド【女型の巨人】
答えが出るとも思えなかったので、私は話題を変えることにした。
「ねぇ、フロリアン。」
「なに?私の幸せな話を聞いて、結婚したくなった?」
「うん、そうね。すごくしたくなった。でさ、話は変わるんだけどー。」
「思ってないでしょっ!アンタ!」
「思った思った。でさ、結婚のお祝い何が欲しい?
こっそり買おうとも思ったんだけど、やっぱり欲しいものを贈った方がいいかなと思って。」
私が変えた話題で、ヒートアップしていたフロリアンはようやく静かになった。
マレーネ達も同じことを考えていたらしく、ぜひ教えてくれと訊ねる。
だがー。
「いいわよ、そんなもの。雀の涙の給料なことは私が一番わかってんだから。」
「そんなこと気にしなくていいよ。せっかくのお祝い事なんだし。」
「そうよ、高価なものが欲しいなら、私達みんなでお金出し合って買うよ。」
「その場合は、みんなで一個だけどねっ。」
幸せになる友人にどうしても祝いをしてやりたいのだと私達がお願いすれば、しばらく考えた後、フロリアンが口を開いた。
「じゃあ、さ。結婚式の日、アンタ達が私のブライズメイドしてよ。」
「私達が?」
「は化粧も上手だし、それもお願いしたい。
とにかく、私は達に一番近くで見ててほしい。それが一番嬉しい。
…お願いできる?」
照れくさそうに頬を染めて、でもどこか不安そうなフロリアンを見て、私達は漸く気づいた。
結婚は幸せへの近道だと必死に説得していたのは、きっと自分自身だったのだということも、住み慣れた兵舎を離れ、友人と離れ、新しい人生を生きることが本当は不安なのだということにも。
「もちろんだよ。フロリアンが世界一幸せな花嫁になるところを
私達に一番近くで見せてもらえるなんて、むしろ贅沢なプレゼントだよ。」
「精一杯、サポートするからね。」
「絶対、私達が世界一幸せな花嫁にしてあげるから、安心して結婚してよ。」
「そして、結婚してからも、ずっと友達だよ。」
フロリアンを抱きしめる。私も、マレーネも、みんなで。
こうして、女友達で集まって夜を過ごせるのはあと数日。
「もう暑苦しいわっ!」
「いいじゃん、いいじゃん。」
「照れてる~っ。」
楽しそうな笑い声が上がる。少しだけ、みんな涙目になっているのはご愛敬だ。
きっと、幸せになってねー。