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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第121章 ◇第百二十話◇母の愛と優しい腕【女型の巨人編】


大きく口をあけて笑うような人ではないけれど、こういう時は必ず口元が意地悪く歪んでいる。
それに、リヴァイ兵長はきっと、瞳で気持ちを語る人なのだ。
優しかったり、怒っていたり、悲しんでいたり、笑っていたり、いろんな気持ちをその綺麗な瞳で私に教えてくれる。

「家族みんな、うるさくて大変でしたよね?
 気を遣わせちゃって、すみませんでした。」
「いい家族だな。が愛されて育ったのがよく分かった。」
「そう言ってもらえると、安心します。ありがとうございます。」

夕食の席でのことを謝ると、リヴァイ兵長はまた優しい瞳で私を見つめた。
その先に、私の家族もいるような気がして、温かい気持ちになる。
甘えるようにリヴァイ兵長の肩に頭を乗せて、ふと、リヴァイ兵長が話してくれた、唯一の家族の話を思い出した。

「リヴァイ兵長は、お母さんのこと、あんまり覚えてないって言ってましたよね?」
「あぁ、まだクソガキだったしな。どうしてだ?」

リヴァイ兵長は私の肩にまわした手で、私の髪をサラサラと遊び出す。
立体起動装置の邪魔になるから切ったらどうか、と一度言われたことがあるけれど、リヴァイ兵長のこの仕草がなくなるのが嫌だから絶対に切らないと決めている。
リヴァイ兵長が隣にいてくれる限り、私はずっと髪を伸ばし続けると言ったら、髪を床に引きずって歩く気かと本気で心配されてしまったけれどー。

「どんな人だったのかなぁ、と思って。
 きっと綺麗な人だとは思いますけどね。」
「なんで、そんなこと分かるんだ。」
「だって、親子は似るものでしょう?
 特に男の人は、母親に似るらしですよ。」
「へぇ。知らなかったな。
 あぁ、そういえば、名前なら覚えてる。」
「お母さんの名前ですか?」
「クシェル。それが、俺の母親の名だ。」

リヴァイ兵長が教えてくれた母親の名前を聞くと、胸の中にその名前がストンと落ちていく不思議な感覚に襲われた。
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