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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第116章 ◇第百十五話◇初めてひとつになれた【女型の巨人編】


情事の途中で、こんな意味の分からないことを言いだした女なんてきっと初めてなんだろう。
恥ずかしさと、情けなさと、そして、嫉妬心が私を苦しめる。
大好きー、大好きなのだ。
リヴァイ兵長のすべてを、独り占めしたいくらい。
私だけが、リヴァイ兵長を知っていたいくらい。
この世界に、リヴァイ兵長の仕草を、指を、身体を、知っている女の人がいるのだと想像するだけで、黒い嫉妬の念が胸を渦巻く。
この世界に、リヴァイ兵長が心も身体も愛した人がいるのだと想像するだけで、頭がおかしくなりそうになるのだ。

「どうした?」

リヴァイ兵長が私の頬を撫でる。とても心配そうに、優しい瞳で私を見てくれている。
それなのに、私は、過去のリヴァイ兵長を責めようとしてる。
どうして、他の女の人を抱いたのー。
私じゃなくて、他の人を愛したのー。こんな風に激しく、愛おしそうにー。
そんなこと、それは私だって、同じなのに。

「他の人も…、こんな風に愛したんですか…?」

心の中に留められなくなった醜い嫉妬が、私の唇から言葉になって零れ落ちる。
リヴァイ兵長の片眉が上がって、言わなければよかったと思った。
言うべきじゃないし、そもそも、そんなこと考えるべきでもない。
過去は過去で、それは誰にもどうすることも出来ないし、その過去が今のリヴァイ兵長を作っているのなら、私はそれごと愛するべきなのだろう。
でもー。

「そんなこと考えてたのか。」
「…だって、すごく上手だから…。
 慣れてるんだと思ったら急に悲しくなって、それでー。」

早口で言い訳を続けようとした私の我儘な唇を、リヴァイ兵長の唇が塞いだ。
それはさっきまでの噛みつくようなキスとは違って、熱いけれど優しくて、ただただ愛を語るためだけにあるみたいなキスでー。
ギューッと抱きしめるリヴァイ兵長の腕の力に身を任せるうちに、胸の中に渦巻いた黒い嫉妬が溶けていくのが分かった。
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