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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第112章 ◇第百十一話◇2人だけの幸せな物語をこれからも【恋の行方編】


久しぶりに窓を開けてもらえた部屋に、気持ちのいい風が入ってくる。
の母親は、窓辺に立ち外の景色を眺める。
今日も、ストヘス区は平和だ。ここが、壁の中の世界で、つい数か月前には、巨人に襲われたというのにー。

(あの娘は元気にしてるかしら。
リヴァイさんを困らせてなければいいけど…。)

気の強い娘の結婚を心配しつつ、母親は、しばらく会っていない娘のための部屋の掃除を始める。
たまにはこうして空気の入れ替えをしてやるのもいいかもしれない。
帰ってこないでいられる方が、娘の幸せだとしてもー。

「絵本か?」

掃除を始めてしばらくしていると、父親がやってきた。
娘の部屋に行ったきりなかなか戻らない母親の様子が気になったようだった。
そして、ソファに座って絵本を広げていた母親の隣に腰をおろした。

「えぇ、掃除をしようと思ってクローゼットを開けたら、
 懐かしいものを見つけてしまって。」
「あぁ、俺も見覚えがあるな。よくがお前に読んでくれとせがんでた。」
「そうなんですよ。でも、最後が悲しくて、いつも途中までしか読ませてくれなかったんですけどね。」
「どんな最後なんだ?」
「自分を守るために死んでしまった愛する騎士を想って、お姫様が真実の愛のキスをするんです。
 すると神様が現れて、泣いているお姫様に願いをひとつ叶えてあげると言うんです。」
「それで、お姫様は何を望んだんだい?」
「愛する人の命です。」
「あぁ…、そうか。」
「でも、命を蘇らせるためには、この世からひとつ命を消さないといけなくて。
 躊躇いもなく、お姫様は自分の命を捧げることに決めるんです。
 そして、目が覚めた騎士が、傍らで冷たくなっているお姫様を抱きしめて泣くところで終わるんです。」
「何を伝えたいのか、分からなくもないがな。
 子供には難しいだろうな。」
「そうなんですよ。だから、はいつも、
 騎士がカッコよくお姫様を助けるところまでしか読ませてくれなくて…、
 あら?」

絵本の最後のページをめくった母親は、見覚えのない結末が書き加えられているのに気づいて手を止めた。
一緒に本を覗き込んでいた父親が、驚いた顔をした後に、苦笑する。
拙い文字で書き変えられた結末は、まるでそのまま、愛おしい娘の未来を示しているように思えた。




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