【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第110章 ◇第百九話◇命懸けのメッセージ【恋の行方編】
「クソッ!またアイツかよッ!!」
ジャンが怒りを握りしめた拳で壁を叩く。
「をどこに置いてきたか言え!!」
リヴァイはジーニーの胸ぐらを掴み、持ち上げる。
言いたいことは死ぬほどあった。
思うことも死ぬほどあった。
でも、優先するべきことは、考えるまでもなかった。
それに、時間もー。
「今さら行ったって、もう遅いですよ。」
「言えっ!!早くッ!!」
「あの暴れ馬から落としてやったとき、
頭打って意識なくしたんです。寝てる間に、巨人に食べられてますよ。」
「…っ!てめぇッ!!
いいから言えッ!!それはどこだッ!?どこでアイツをテュランから落としたッ!?」
焦っていた。
ミケの言う通り、この霧と雨の中で闇雲に探しに出るのは自殺行為だ。
最悪、とすれ違ってしまえば、助けることも出来ない。
それでも、エルヴィンが止めても、行くつもりだ。
どんな雨が降っていようが、どんな霧が出ていようが、遠い昔の悪夢を思い出させるような、最低最悪の空だろうが関係ない。
を守るためならば、どんな地獄にだって向かう。
でも、助けるための情報なら、あった方がいい。
それは、調査兵団に身を置いて、エルヴィンの下で任務を果たすようになって、学んできた。
エルヴィンの判断が、間違いだったことがないことも、嫌というほどに理解している。
だから、エルヴィンが、助けに行くのは今ではないと言うのなら、そうなのだろう。
死ぬほど気に入らないけれど、そうなのだろう。
でも、情報があれば、がどこにいるのかということさえ分かればー。
「なぁ、アンタ達、今日、壁外任務から帰ってきただろう?
置いてきぼりにされたっぽい馬が壁の下にいるんだけど、迎えに来てやってくれないか?」
思いがけず、朗報をもたらしてくれたのは、この状況を何も理解していない駐屯兵のリコだった。