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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第109章 ◇第百八話◇ただの悪い夢であれ【恋の行方編】


「これ…。」

真っ青な顔のままで、ハンジがテーブルの上から何かを持ち上げた。
胸ぐらを掴んだまま、リヴァイは視線だけをその何かに移す。
無残に真っ二つに割れ、もう二度と役に立てそうにないティーカップだった。
よく見れば、天使の羽の飾りに見覚えがあった。

「の部屋のものを片付けてたときに、落としちゃったんだ。」
「…バラバラってのはそれのことか。」
「そう…、本当にごめん。どうにかくっつけようとはしたんだけど、
 全然無理で…。の宝物なのに。」

なんだ、そんなことかー。
ハンジの胸ぐらから手を離し、身体から力が抜ける。
それもそうか。
まだ壁外任務に出ている調査兵は帰ってきていないし、なによりは生きて帰ってくると約束した。
そう信じると決めたのだ。

「それくらい、また買ってやる。」
「え?!本当!?怒らないの!?」
「くだらねぇことで騒いでんじゃねぇ。」

驚かせやがってー。
少し苛立ちながらも、安心もしたリヴァイが、椅子に腰かけようとしたときだった。
廊下の奥から騒がしい声が聞こえ始めた。
ここでバラバラだとか不穏な話に振り回されている間に、壁外任務に出た調査兵が帰ってきたようだ。
リヴァイを筆頭に、ハンジ達も走って廊下に出た。
廊下の奥に、ミケに食って掛かっているナナバとゲルガーの姿が見えた。

「せめて私達だけでも戻りましょうっ!今からならまだ間に合いますっ!!」
「ダメだ、これから雨も激しくなる。霧も深い。
 二次被害を出すだけだ。」
「だから、俺達だけで行こうって言ってんだよっ!!
 その雨が余計にアイツの体力を奪うっ!!急がねぇと手遅れになっちまうっ!!」
「明日まで待って、霧が晴れてから向かう。それまで、待機だ。」
「だから、それじゃ遅ぇんだってっ!そもそもアイツは体力がねぇんだッ!
 アンタだって分かってんだろッ!?」
「それに、そんな判断、リヴァイ兵長が許すわけないでしょう!!」

言い争いをしながら歩いてきたミケとナナバ、ゲルガーは、廊下の中央で自分達を睨みつけるリヴァイを見つけ、足を止めた。
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