【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第100章 ◇第九十九話◇お土産をどうぞ【恋の行方編】
「わっ!?」
リヴァイ兵長の執務室兼自室の扉をノックしながら名前を告げた途端、本当にその途端、扉が爆発したみたいに勢いよく開いた。
でも、さすがなのは、私の額に扉の角が当たる寸前で止めたリヴァイ兵長の反射神経だ。
「悪ぃ…。」
「いえ、大丈夫です。」
本当に申し訳なさそうに眉尻を下げたリヴァイ兵長に、私は苦笑気味で答える。
きっと、帰ってくるまで心配してくれていたのだろう。
ずっと、帰ってくるのを待ってくれていたのだと分かるから、嬉しかった。
リヴァイ兵長は、私の手を握って部屋に引き入れると、扉を閉めた途端に強く抱きしめた。
本当に、抱きしめるのが好きな人だなー。
そんなことを思いながら、私も、紅茶の苦くて甘い香りのする愛おしい人を抱きしめ返す。
「ただいまです。」
「あぁ。おかえり。」
なんだか、くすぐったくて、照れ臭くて、私はリヴァイ兵長の肩に顔を埋めた。
いつか、こんな言葉を交わしたことがある。
調査兵団を去った私が、本当の調査兵になると覚悟を決めて戻ってきたときだ。
壁の上で『おかえり。』と抱きしめてもらったとき、あのときの私は、こんな日が来るなんて夢にも思っていなかった。
本当に、夢のように、幸せだ。
そんな私をもっと幸せにしてくれるリヴァイ兵長は、優しく私の髪を撫でると、キスをひとつくれた。
そっと触れるだけのキスが、心と身体の疲労をあっという間に忘れさせてくれる。