【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第97章 ◇第九十六話◇反撃開始【恋の行方編】
リヴァイ兵長に挨拶を終え、一度自室に戻った私は私服に着替えてから宿舎の入口に向かった。
入口に着くと、先に私服に着替え終えたらしいハンジさんが待っていて、私に気づいて手をあげた。
「リヴァイがなかなか行かせてくれないから、
バレてるのかとヒヤヒヤしたよ。」
ハンジさんが胸に手を当てて、はぁ、と息を吐く。
「リヴァイ兵長って、意外と心配性なんですねぇ。」
「…博打打ちが恋人なら、私でも心配だよ。」
「ん?何か言いました?」
頷く私の隣でハンジさんが何かを呟いたのだけれど、聞き取れなかった。
独り言だろうか。
「いや、なんでも。
さぁ、モブリットが待ってる。行こうか。」
「はいっ!」
私は、ハンジさんの隣に並び、裏門へと向かう。
リヴァイ兵長に嘘を吐くのは心苦しかったけれど、私もハンジさんも、本当は出張になんて行かない。
本当に出張をするのは、事情を知っているモブリットさんだけだ。
そもそも、私もハンジさんも、今日と明日は非番を貰っている。
今日が出張だと信じさせるための兵団服をバッグに詰め込んで、向かうのは王都だ。
「遅かったですね。バレたのかと思ってハラハラしましたよ。」
裏門に着くと、馬車の馭者席で待っていたモブリットさんが、ホッとした顔をした。
さっきのハンジさんみたいだ。
「リヴァイがなかなかを行かせてくれなくてね。」
「心配性みたいです。」
私が困ったように言うと、モブリットさんが困った顔で何かを呟いた。
どうかしたのかと訊いたけれど、さっきのハンジさんのように教えてはくれなかった。
意外と、ハンジさんとモブリットさんは似ているのかもしれない。
すごく頭が良くて、すごくお人好しなところとかー。
「さぁ、乗ってください。新聞記者に見つかったら厄介です。」
「そうだな、じゃあ、馭者頼むよ。」
「慣れています。」
苦笑いで答えたモブリットさんに、私からも頭を下げて、ハンジさんに続いて客車に乗り込む。
行きますよーというモブリットさんの声の後、馬車が動き出した。