【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第95章 ◇第九十四話◇幸せな一日の、最初の日【恋の行方編】
母から手紙が届いた時、本当はすごく不安だった。
エルヴィン団長が冗談のフリをして確認したみたいに、私も同じことを思った。
悪魔のような男のところから帰ってきなさいー手紙にはきっと、そう書いてあるのだろう。
そんな不安が拭えなくて、自分の母親からそんな言葉が出てくるなんて信じたくなくて、なかなか手紙の封を切れなかった。
でもー。
『新聞を読みました。
記事のどこに真実があるかは、私には分かりません。
私に分かるのは、私の娘が、リヴァイさんを想っていること。
私の見たリヴァイさんは、とても誠実な男性だったこと。
それだけ分かっていれば、私は、あなた達を信じられます。
だから、あなたも愛した人を信じて、支えてあげなさい。
どんな困難も2人で乗り越えなさい。
死ぬ気でやれば、案外、何だって乗り越えられるものですよ。
隣に愛する人がいれば、尚更です。
つらくなったら、いつでも帰ってきなさい。
リヴァイさんを連れてね。
お父さんとお母さんはいつだって、
娘と娘の愛した人の味方ですから、安心してくださいね。』
あんなに強く、優しい、愛に溢れた文章を書ける人が自分の母なのか。
そう感じて、胸が熱くなった。
同時に、母親には敵わないと思った。
私が今、一番欲しい言葉を、一番の不安を、分かってくれていたから。
「素敵な母親だな。これで、私も安心した。」
エルヴィン団長が私の頭をクシャリと撫でる。
リヴァイ兵長にも、同じようにしたいのだろうか。ふと、そんなことを思った。