【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第91章 ◇第九十話◇愛されるより愛したい、嘘、本当?【恋の行方編】
「…いいよ。」
私が頷くとは思っていなかったのか、ダイはとても信じられないという顔をしていた。
でも、小さく深呼吸した後、頬に触れていた手を私の腰にまわすと、おそるおそる、自分の元に引き寄せた。
最近は、リヴァイ兵長に抱きしめられることが多かったから、身長差を感じるのは、すごく久しぶりだった。
抱き寄せられた私の頬は、ダイの胸よりも下にあった。
だから、ダイは首をもたげるようにして私の首元に顔を埋めて抱きしめていた。
「よかった…。心臓の音が聞こえる。」
「え?」
「が生きてる。俺は、それだけでいい。
お前が死んでるかもと思ったら、生きた心地が、しなかった…っ。
よかった…っ、生きてる…っ。」
おそるおそるだったダイの腕は、次第に力を強めていって、私を、ギュッと、ギュッと抱きしめる。
そのとき、私は思った。
この人を好きになれたらよかったのにって。
でも、出来なくて、私を愛してくれている人の腕の中にいるのに、私はリヴァイ兵長のことを想っていた。
それがあまりにも切なくて、彼が、私のようで悲しくてー。
「ダイの心臓の音も、聞こえるよ。すごく速い。
ドドドドドドって言ってる。」
からかうように言って、私もダイの背中にそっと手を回した。
ほんの少し、身体を強張らせた後、耳元からダイの困ったような声が聞こえた。
「意地悪なやつだな。」
クシャリと、ダイが笑う。
愛おしそうに、私を抱きしめてー。
リヴァイ兵長は決して見せてくれない、笑顔でー。