【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第84章 ◇第八十三話◇愛しい騎士を悲劇から救って【恋の行方編】
どうして、そんな風に言うのー。
言葉にならず、せめて泣くまいと、私は唇を噛んだ。
リヴァイ兵長が傷つかずに済むのなら、私はどうなったっていいと思っている。
最低な男達に身体を弄ばれたって、銃で心臓を撃ち抜かれたって構わない。
リヴァイ兵長さえ、傷つかずに済むのならー。
それなのにー。
「なぁ、コイツって本当に死ぬのか?」
「人間じゃねぇって聞いたぞ、化け物だって。」
「コレ使ってみようぜ。さすがに、コレで殴れば死ぬだろ。」
物騒な会話が聞こえてきた。
金髪の男達が、コレと呼んだものが何か、リヴァイ兵長の腕の中に閉じ込められている私には分からなかった。
でも、それからすぐに、リヴァイ兵長の身体に今までとは比べものにならない大きな衝撃が落ちてきた。
「くっ…っ。」
初めて、リヴァイ兵長から小さくくぐもった声が漏れた。
それに喜んだ金髪の男達の雄叫びの後、大きな衝撃が不規則に落ちてくるようになった。
何が起こっているのか分からなくて、私は怖くて怖くて仕方がなかった。
でも、鉄が石の床にあたる音が聞こえて、怖ろしい現実を知った。
金髪の男達は、鉄パイプを使って、リヴァイ兵長の背中を、腕を殴ってー。
「頭だけはやめろよ。じわじわ嬲り殺してやるんだ。」
リヴァイ兵長の身体の向こうから、モーリの声が聞こえた。
最初から、私達を助ける気なんて欠片だって持っていないのだ。
そんなこと、リヴァイ兵長だって分かっているはずなのに、どうしてー。