【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第76章 ◇第七十五話◇失恋の後【恋の行方編】
午前中の座学の授業が終わり、新兵達は続々と教室を出て行く。
ペトラも昼食の前にジャンのことを所属分隊の隊長に報告する為に出て行った。
食欲のない私が、教壇でノートを広げ、午後の授業の準備を始めようとしたとき、アルミンが声をかけてきた。
よく見ると、座学室の扉に寄り掛かって、ミカサが待っている。
「どうした?何か分からないところがあったかな?
私に答えられたらいいんだけど…。」
今日の授業の内容を確認しようと、資料をめくる。
座学の指導について、私はあまり自信がなかった。
調査兵団随一の頭脳を持つハンジさんから直々に座学については叩き込んでもらったとは言え、情報を入れたのは凡人程度の頭だ。
教鞭をとれるような知識はなく、ペトラの助手に徹している。
「ジャンのことなんですけど…。」
「あぁ、それなら今、ペトラが分隊長に報告に行ったから心配ないよ。
危険だと判断すれば、帰ってくるように指示が来ると思うし。」
安心させようと思って、ニコリと微笑んだ。
でも、アルミンの表情はうかないままで、小さく首を横に振る。
そして、少し言いづらそうにしながら、口を開いた。
「昨日、ジャンから聞きました。」
「…そっか。ごめんね、私のせいで…。」
「いえ、それはジャンが判断したことだし、さんのせいじゃないですっ!」
アルミンは、私の顔を真剣に見て言った。
私のせいーと思ってしまう気持ちはなくならない。
でも、少しだけ力が抜けた。
「ありがとう。」
「ジャンも、本当はさんの顔が見たいと思うんです。
でも…、たぶん、ちゃんとできる自信がなくて、それで…。
もう少し、時間をあげてください。そうすれば、きっと…。」
「心配しないで。
大丈夫だよ。私もジャンの気持ち、分かるから。」
「よかった…。」
「アルミンは、優しいね。」
ホッと胸を撫でおろすアルミンの頭を、私はそっと撫でた。
友人のことを心配できる、心配してくれる友人がいる。
だから、きっとジャンは大丈夫、そう思えた。
私もルルやペトラがいたから、こうしていられている。
ジャンの気持ちなら、たぶん、私は痛いほどわかっていると思う。
だから、私から避けることはしないで、ジャンを待とうと思う。
ジャンが、私に会ってもいいと思ったとき、私はいつも通りに笑おうと思う。