【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第71章 ◇第七十話◇幸せを握り潰す君の手を愛したから【恋の行方編】
握られている私の手が少し揺れたから、きっとリヴァイ兵長も知らなかったのだろう。
思わず見たエルヴィン団長は、いつも通り、澄ました顔をしていて、何を考えているのかは分からない。
ただ、なりゆきを見守ろうとしているみたいだった。
でも、私から目を反らしたハンジさんとナナバさん、ペトラが、ルーカスの言っていることは本当だと教えてくれる。
「ごめん、。
君が私達のためにここに残ろうとしてくれたのは分かった。
すごく嬉しい。でも…。」
ハンジさんは最後まで言えずに口を噤んだ。
それに続けるように、今度はナナバさんが口を開いた。
「結婚すると去っていく兵士だっているのに、君だけはダメなんて出来ないんだよ。
確かに君はとても優秀な兵士だ。でも、その前に人間だ。
幸せになる権利が、ある。私達がそれを否定することは出来ない。」
「だから、。自分で選んで。
幸せになれると思う方を、選んでほしいの。
お願い、後悔しない方を、選んで。」
ナナバさんに続けたペトラは、私を懇願するような目で見ていた。
誰も、私にどうしろとは言わない。
私にどうすべきか教えてくれない。
リヴァイ兵長はー。
どんな顔をしているのだろう。
リヴァイ兵長も、好きに選べと言うのだろうか。
私はここにいなくてもいいのだろうか。
顔を見るのが怖い。どんな答えが返ってくるのか、想像するのも怖い。
でも、分かっている。
今、決断に必要なのは、彼らが私にどうしてほしいかではない。
私が、どうしたいのかー。
「リヴァイ兵長…。」
手を繋いだままで、私は縋るようにリヴァイ兵長を見た。
「きっと、リヴァイ兵長も、後悔しない方を選べって言うって分かってます。でも…。」
私は目を伏せる。
答えなら決まっていた。
でも、それで後悔しない自信がなかった。
怖かった。
だから、背中を教えてほしくて、だからー。