【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第70章 ◇第六十九話◇彼女の王子様は誰?【恋の行方編】
の調査兵団入団の経緯については、ペトラも簡単に聞いている。
無理やりーというと言葉が悪いかもしれないけれど、そうとられても仕方がないようなきっかけではあったかもしれない。
でも、今のは違う。
少なくとも、自分の足で、言葉で、意志で、調査兵団に戻ってきたのだから。
だから、ルーカスを見据えるエルヴィンは、堂々としているのだろうか。
でも、ペトラは不安で仕方がなかった。
ペトラの隣でピリピリした空気を放っているナナバも、エルヴィンの隣でソワソワしているハンジもきっと同じだ。
ルルの死を乗り越えて調査兵団に戻ってきたときのなら、元婚約者が迎えに来ても、ここから去ることはなかったと思う。
でも、今のはー。
「・#みょうじ#は、人類にとって必要な兵士だ。
彼女を調査兵団から奪うということは、人類の勝利を奪うことに等しいと
私は思っている。それでも、君は自分の欲のために彼女を奪い返すか。」
エルヴィンも負けてはいなかった。
挑発的な言葉で、ルーカスの意志の固さを確認しようとしている。
でも、調査兵団にいるからこそ、人類が今危機的状況にいることを理解しているのだ。
王都にいる男が、その言葉の本当の恐ろしさに気づけるとは思えない。
案の定、ルーカスは失笑を浮かべた。
「たった3人程度の男に乱暴されそうになっていたか弱い女性が
人類の希望ですか?そんな世界なら、明日、滅んでしまってもおかしくない。
それなら僕は、愛する人と共に過ごしたい。」
「が乱暴されそうに?」
思わず訊ねてしまってから、ペトラは慌てて口を手で押さえた。
だが、もう遅く、しっかりと声はルーカスに届いていたようだった。