【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第70章 ◇第六十九話◇彼女の王子様は誰?【恋の行方編】
「どういうことだ、リヴァイ。」
ナナバがリヴァイに訊ねた。
怖い顔が、ナナバとハンジに向く。
「それは俺が聞きてぇな、ナナバ、ハンジ。
お前らが、コイツの見張り役だったんじゃねぇのか。」
「それは…、気づいたら、兵舎から出ててっ。」
ハンジが困ったように言うと、王子様が小さくため息を吐いた。
「可哀想に。には見張りまでついて、自由に外に出ることも出来ないなんて。
それじゃ、兵士ではなくて、囚われの身のお姫様じゃないか。」
リヴァイの腕の中で眠るを悲しそうに見下ろした後、王子様は、ハンジとナナバを見た。
いや、彼らの後ろにいたエルヴィンを見たようだ。
気づかなかったけれど、いつの間にか騒ぎを聞きつけたのか、エルヴィンまでやってきていたようだ。
ハンジとナナバの後ろに立つエルヴィンを挑むような目で見た王子様は、表情と声色こそ穏やかなものの、聞き捨てならない台詞を口にする。
「だから、僕はを救いに来たんです。
ここにいては彼女のためにはならない。もうそろそろ我慢の限界だ。
彼女は返してもらいますよ。いいですよね、エルヴィン団長。」
ペトラが最初に感じた、ゾクリとするような冷たさはもうない。
でも、エルヴィンをまっすぐに見据える王子様の瞳は、本気を語っていた。