【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第70章 ◇第六十九話◇彼女の王子様は誰?【恋の行方編】
「リヴァイ兵長ですかね?」
一番、あり得そうな人物の名前をペトラは口に出した。
その途端に、ハンジとナナバに血の気が戻ってきて、お互いに顔を見合わせた後、ホッと息を吐いた。
「そうだよ、リヴァイが非番だろ。今日。
リヴァイが連れてったんだよ。」
「も~~っ、すっごい焦ったじゃないかぁ~。
報告してから行ってくれよな~っ。」
ハンジとナナバは嬉しそうに笑い合う。
とりあえず、と一緒にいるのがリヴァイなら安心だー。
ペトラもホッ吐息を吐いたのだけれどー。
「リヴァイ兵長じゃないと思いますよ。」
ジャンが言う。まるで確信したような言い方だ。
「なんでそう思うの?誰か聞いたの?」
「いや、俺も急いでて誰かまでは聞けなかったんですけど。
王子様がどうのって言ってたんで。
リヴァイ兵長はその…、王子様って感じではないかなって。」
ジャンは、尻しぼみに言いづらそうにしながら答えた。
でも、言いたいことは分かる気がする。
王子様というのなら、それはリヴァイではないと思うのが自然かもしれない。
でも、にとっては王子様かもしれないしー。
そう思ったのは、ペトラだけではなかったようだった。
「でもさっ!リヴァイだってほら!!王子様っぽいところがあるよ!」
「あるあるっ!よーーっく見たら王子様なところがっ!!」
「あるよなっ!あれとかなっ!」
「そうそう!!それとかっ!!」
ハンジとナナバは、どうにかしてと一緒にいるのはリヴァイにしたいようだった。
リヴァイの王子様っぽいところの具体例がひとつも出てこないところが、残念なところだ。
そこへ、女兵士達の楽しそうな会話が聞こえてきた。
「白馬の王子様なんて初めて見たよ~っ。まだドキドキするっ。」
「金髪がキラキラってして、手足も長くって…、あぁ、いいなぁ~。
私も後ろからギューッてされた~いっ。」
彼女達の黄色い声は、確かに王子様と呼んだ。
それは、ハンジとナナバの耳にも届いていたようで、少しずつ顔色が青くなっていった。