【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第63章 ◇第六十二話◇夜明け前の事件【恋の行方編】
「ルルを殺した巨人は、私が殺したー。」
はそう言って、立体起動装置に装備してある超硬質スチールを抜き出す。
「ルルが命を懸けて捕まえた巨人を殺したヤツも、私が、殺すッ!」
超硬質スチールを構えて、地を這うような低い声で叫んだの目は、本気だった。
本気で、人を殺すことを厭わない目だ。
頭がガンガンするほどに叫び続けていた調査兵達が、一様に口を噤んだ。
シン、と静まり返った中で、女同士の言い争いで震えてしまっていたアルミンにとって、そんなの姿は恐怖でしかなくて、思わず一歩、二歩、後ずさる。
最近、に懐いている様子だったジャンでさえ、引きつった顔でかたまっていた。
「で、誰がこの馬鹿野郎が犯人だと思うのか、俺に教えてくれ。」
リヴァイは、の殺気に怯える調査兵達に問うた。
誰も、何も言わない。いや、言えないのだ。
犯人が誰なのかは分からない。
ジーニーが嘘をついているのかも分からない。
でも、ここで真実はただひとつ。
は、被験体を殺した人間を殺したいほど憎んでいる。
「、殺されては困る。
我々は、こんなバカげたことをした理由を知らないといけない。」
エルヴィンがに言った。
ピクリー、との片眉が動く。
「…よかった。
私も…、人を殺すのはちょっと、怖いなって思っていたところです。」
怖い顔をしたまま至極真面目にが言うもんだから、さっきまで悲愴な顔をしていたハンジが、ブッと吹き出した。