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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第61章 ◇第六十話◇星のない夜【恋の行方編】


「今、いいか。」

座学室の扉から顔を出したのは、ミケ分隊長だった。
最近よくミケ分隊長に会う気がする。
ナナバさんに場所を聞いてやってきたというミケ分隊長は、ひとつ前の席の椅子を後ろに向けると、私と向かい合うように腰をおろした。

「何かあったんですか?」

私はペンをノートの上に置いて尋ねた。
わざわざミケ分隊長が私を探してくるなんて珍しい。
きっと、とても、大切な話をするのだろうと思った。

「本当に壁外任務に行くつもりか。」

ミケ分隊長は、前置きも何もなしに、いきなり本題に入った。
普段から無口で、朴訥としているミケ分隊長らしい。

「エルヴィン団長の指示であれば、私はどこへでも行きますよ。」

私の答えを聞いて、ミケ分隊長はしばらく黙り込んだ後に「そうか。」と小さく呟いた。
私が命じられた壁外任務は、ミケ分隊長の分隊が主体になって行うことになっている。私のように他の分隊の隊員もいるが、ごく数名だけだ。
リヴァイ兵長はもちろんのこと、エルヴィン団長も参加しない。
だから、今回の壁外任務の責任者はミケ分隊長だ。
それもあって、私のことを気に掛けてくれたのかもしれない。

「私はもう大丈夫ですよ。強くあろうって決めたんです。
 もう二度と、大切な人を失わないように。」

力強く握った拳が、ノートに皴を作った。
頭の中に蘇るルルの最期、そして、それに重ねてしまう自分が巨人に喰われている姿。消えてくれないリヴァイ兵長の声。
それでも、私は逃げるわけにはいかない。
ルルがくれた第二の人生を、逃げるために使いたくはない。
強く戦う、勇敢で、カッコよくて、そして、とても大切な人達の隣に少しでも長くいられるように、私はもう逃げない。

「これを、君に持ってきた。」

ミケ分隊長は、そう言って、ジャケットの胸ポケットから何かを取り出した。
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