【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第52章 ◇第五十一話◇アニと不思議な話【恋の行方編】
それからも、思いついたことを話したり、今日の買い物で気になったもののことを話していると、ロビーの奥にある階段から降りてくるザックレー総統の姿を見つけた。
その後ろにリヴァイ兵長もいる。
私に気づいたリヴァイ兵長が、小さく手を上げた。
私に向けられたその仕草が嬉しくて、思わず綻ばせて手を振り返す。
「終わったみたい。アニ、一緒に待っててくれてありがとうね。」
アニを見ると、ただジーッとリヴァイ兵長を見ていた。
いや、睨みつけていた、という表現の方が正しいかもしれない。
ただジッと、親の仇みたいにリヴァイ兵長を見ている。
「アニ?どうしたの?」
「あー、なんでもないよ。」
すぐにいつもの何もかもに無関心という様子のアニに戻った。
さっきのあれは、何だったのか気になったけれど、こっちへ来いとばかりにリヴァイ兵長が目で指示をしてくる。
「それじゃあ、また遊びに来るね。」
「アンタの言ってた上官って調査兵団の兵士長のことだったんだ。」
「うん、そうだよ。」
「親しいの?」
「リヴァイ班と一緒に行動させてもらうことはあるけど
特別親しいわけじゃないかな。
どうして?」
「いや、別に。調査兵団でも特に有名な兵士長が一緒だとは思わなかったから。」
アニの声に抑揚はなく、心がこもっているようには思えなかったけれど、嘘をついているようにも見えなかった。
本当に、私と一緒に来た上官がリヴァイ兵長だとは思わなかっただけなのだろうか。
それに、さっき、リヴァイ兵長のことを睨んでいるように見えたのはー。
「!いつまでそこにいる!
置いて行かれたくなけりゃ、来い!」
「はいっ!」
ついに待ちきれず、リヴァイ兵長に大声で呼ばれてしまった。
「それじゃ、またね!」
「うん、気を付けて。」
「ありがとう。」
アニに手を振って背を向けた後、私は伝えたいことを思いついて振り向いた。
「あともうひとつ、嬉しかったのは
何度生まれ変わっても、アニに会えると思ったからだよ。」
「…急に、なに。」
「言いたいと思ったときに、ちゃんと伝えるようにしてるだけ。」
「あっそ。」
素っ気ない回答のアニは、照れ臭そうに頬を染めていた。
さっきまでのアニは何だったのか、分からない。
でも、私は、今のアニを信じたい。
そう決めたー。