【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第43章 ◇第四十二話◇優しい声の使者【調査兵団入団編】
私の身体は無意識に走って逃げだした。
どうしてなのかは分からない。
調査兵団から逃げておきながら今さら顔を合わせられないと思ったのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
分からないけれど、私は必死に走って逃げた。
「待ってっ!待ってよ!!!」
後ろから、必死に私を追いかけるハンジさんの声が届く。
でも、振り返らなかった。
追いかけてくるハンジさんと同じくらい、私も必死に逃げた。
どうして会いに来たの。どうしてここにいるの。
頭の中はいろんな疑問が浮かんでは消えて、また浮かんで、私は困惑していた。
「待ってくれ!」
ハンジさんに腕を掴まれても、振り返る余裕もないくらいに、私は困惑している。
だって、どうして。どうして。
「お願いだ、私達の話を聞いてくれ。」
「…無理です。」
私は振り返らずに、掴まえられたときの格好のままで答えた。
だって、振り返れるわけがない。