【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第39章 ◇第三十八話◇仇【調査兵団入団編】
「どうせお前は知らないんだろ。
ルルがどんなにむごたらしい姿で親の元へ帰ってきたのかなんて。」
自分を見下ろすルの父親を、は死んだような目で見上げていた。
「ルルの身体…。」
「あぁ、そうだ。妻に似て美人で、自慢の娘だった。優しいあの子は綺麗な顔で帰ってきたよ。
でも…、可哀想に…、巨人に食われて下半身はなくなっていた…っ!」
「あぁ!ルル…っ!ルル…っ!!」
「ちぎれた片腕も渡されたよ。娘さんだってな…。
ふざけるなッ!!!違うッ!!私達の娘は腕でも、上半身だけの身体でもない!!
私達の娘は…ッ!娘は…ッ!!!生きてたんだ…、生きてたはずだったのに…!!」
を睨みつける父親の瞳から涙がボロボロと零れ落ちる。
拳と声を震わせる彼の悲痛な叫びに、胸が潰れそうだ。
彼の苦しみから目を反らしてしまった兵士達もきっと思ったことは同じ。
生きて、連れて帰りたかった。
彼らの元に生きてー。
ただいま、と笑って帰ってきた娘を、おかえりと抱きしめさせてやりたかった。
「よかった…。」
ふとが呟いた一言に、最後の最後に張りつめたままなんとか残っていた父親の怒りの糸が切れた。
「何がよかったんだッ!?
身体をバラバラにされたのが自分じゃなくてよかったってかッ!?
死ねッ!!!死んで、ルルに身体を返せ!!」
そう叫んで、ルルの父親が胸元から取り出したのはナイフだった。
そんなものを持ち込んでいたなんて、気づかなかった。
噂話を聞いて騒ぎ出したというようなことをモブリットは言っていたが、元からそういうつもりでこの弔い式に参加していたのかもしれない。
そこで、ヒドイ噂話を聞いて騒ぎを起こしてしまっただけで、目的は娘の死の原因を殺すことでー。
「やめろッ!!!」
悲鳴のように叫んだハンジの声も虚しく、ルルの父親はナイフを振り上げた。
そしてー。