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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】


「そろそろ行くよ~。準備できた?」

ちょうど兵団服のジャケットを羽織ったときに、ハンジさんが部屋に入ってきた。
最近のハンジさんは、扉をノックする、ということをしなくなった。
面倒くさいのか、ど忘れしているのか。
少し気になるけれど、突然部屋に入られて困ることもないので、特に何も言っていない。

「はい。すぐ行きますっ!」

名簿を手に取って、急いで部屋を出た。
廊下に出ると、調査兵達が忙しそうに右へ左へと通り過ぎていく
今日の午後には、新兵も含めたすべての調査兵達がこの旧調査兵団本部に到着することになっている。
壁外調査の日程も近づいてきたことで、カラネス区に少しでも近い場所で最終訓練を行うことに決まったのだ。
そうは言っても、新兵らは今、訓練などを差し置いて、エルヴィン団長発案の長距離索敵陣形についてを頭に叩き込まれているそうだ。
壁外調査で生きて帰ってくるためには、その陣形を熟知し、そして行動に移す力が何よりも大切だからだ。
それは、私も当然同じで、調査兵団本部で、リヴァイ班と一緒に訓練を受ける傍ら、エレンの巨人化実験の合間を縫って、ハンジさんに教えてもらっている。
今日のエルヴィン団長との同行任務が終了すれば、私も新兵と一緒に授業を受ける予定になっている。

「兵団関係者の顔と名前は憶えられたかな?」

名簿を覗き込んでくるハンジさんに、私は自信なく首を横に振った。
暗記は得意な方だ。そして、それは昨夜が追い込みだったとは思うのだが、残念ながら私はそれどころではなかった。
涙で腫れた目の対処法をルルが知っていたおかげで、なんとか見られる状態の顔になった。
昨日はルルがいて本当に良かった。

「そういえば、最近はルルも一緒に訓練を受けてるらしいね。」
「はい、実験準備も終わったし、リヴァイ兵長の訓練に参加してみたいって。」
「そっか~。同じこと言ってる新兵もいてね。
 今度、合同で訓練してみるかい?」
「いいですね。エレンの友人にも会ってみたいです。」
「そうだね。」

ハンジさんと話しながら、私は自分が意外と普通にリヴァイ兵長の名前を出せていることに驚いた。
そして、安心もした。
やっぱり、昨日思い切り泣いたのが良かったのかもしれない。
少しだけ胸がチクリとした気がしたけれど、きっともう大丈夫だ。
やっぱり、ただの気の迷いだったのだろう。

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