【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第22章 ◇第二十一話◇触れられない星【調査兵団入団編】
調査兵団に入って初めて、壁の中で飼われている現実を知った。そして、世界は悲劇で溢れていたのだということを。
だから、無性にヒルラに会いたくなる。
あの日の悲劇は悪夢だったのだと言って欲しくて、明日になればすべて元通りになっていてほしくて。
でも、今、肩が触れそうで触れない距離に座るリヴァイ兵長の優しさも、私にとっては現実で、真実。
世界は悲劇に溢れていたけれど、勇敢で優しい兵士達が守る幸せで出来ているんだ。
ふいに、冷たい風が吹いた。
兵団服だけでマントも着ていないリヴァイ兵長には、寒いかもしれない。
「部屋に戻りましょうか。」
私は、厚めのカーディガンを抱きしめながら立ち上がった。