【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第22章 ◇第二十一話◇触れられない星【調査兵団入団編】
シャワーを浴びて部屋着のワンピースに着替えた後も私は談話室でルル達とのお喋りを楽しんでいた。
そして、1人、1人と眠気とともに部屋に帰っていき、いつの間にか誰もいなくなっていた。
シンと静まり返った広い部屋は、実際よりも少し寒い気がする。
羽織っている大きめのカーディガンを抱きしめた。
私は、すっかり冷めた紅茶の入ったティーカップを持ってバルコニーに出ると、手すりの縁に腰を下ろし夜空を見上げる。
(今日はね、久しぶりにすごく楽しかったの。
ヒルラみたいに、ペトラ達とも親友になれたら嬉しいな。なれるかな?)
夜空の星を見上げる。
当然、ヒルラから返事は返ってこないから、私は彼女が言いそうなことを想像するしかない。
どこにいてもしていることは同じで、少し可笑しくなる。
「お前はいつもそこにいるな。」
声をかけてきたのは、リヴァイ兵長だった。
こんな時間まで仕事をしていたのか、兵団服姿のままであることに驚いた。
リヴァイ兵長の言った、そこ、とは兵舎の談話室のベランダのことだろう。
ベランダで夜空を見上げているのを見られたことも何度かあるし、仕事の合間の休憩はいつも談話室のベランダをリクエストしていた。
す私のイメージは談話室の外になってしまっているようだ。
「夜風が気持ちがいいんですよ。」
「さみいだけだろうが。」
温かい紅茶を飲みながら冷たい夜風にあたるのが気持ちいいのだ。
そう言えば、興味が沸いたのか、仕方なくなのか、リヴァイ兵長は隣に来て手すりに背中を預けて夜空を見上げた。
やっぱり寒いだけだと文句を言うリヴァイ兵長をクスクス笑うと、持っているティーカップを渡された。
「お前の渡せ。」
「え?」
「お前の紅茶の方が夜風に合って気持ちいいんだろ。」
「え?そんなの関係ないですよ、それにこれはもう冷めてて―。」
「かせ。」
リヴァイ兵長は、人の話も聞かないで、私の持っているティーカップを強引に奪い、代わりに自分の分を私に渡した。
そして、一口飲んで、一瞬身体を震わせる。
ほら、やっぱり寒いのだ。
だって、その紅茶はすっかり冷めて冷たくなっているのだからー。
「だから、言ったんですよ。
はい、どうぞ。リヴァイ兵長の紅茶をお返しするので、これ飲んで温まってください。」
「必要ねぇ。」
リヴァイ兵長は、ふい、と目を反らしてしまう。