【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第19章 ◇第十八話◇2人の見た夢【調査兵団入団編】
ペトラの部屋を出た私は、宿舎のちょうど真ん中あたりにある談話室に来ていた。
奥にあるベランダに出ると、冷たい夜風がお酒を呑んで火照った身体を冷やす。
僅かに震える身体を軽く抱きしめ、手すりに手をかける。
まだ眠たくなかったし、もう少し歓迎会の余韻に浸っていたかった。
明日になれば、兵士としての命懸けの生活をまた実感しながら過ごさないといけなくなるから―。
夜空を見上げれば、幾つもの星が輝いていた。
昔、母親から聞いたことがある。
亡くなった人は星になって私達を見守ってくれているのだ、と。
それなら、あの星のどこかにヒルラもいるのだろうか。
目を凝らしてみてみたけれど、真っ赤なマニキュアの似合いそうな星はどこにもない。
やっぱり、真っ赤なマニキュアは、ヒルラのあの細くて綺麗な指のカタチのいい爪が一番似合うー。
「そんなところで何してる。」
夜空の星を数えていると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、ティーカップを手に持ったリヴァイ兵長が窓際に立って訝し気にこちらを見ていた。
談話室にはちょっとしたキッチンがついている。
そこで紅茶を作ったのかもしれない。
歓迎会でもひたすら紅茶を飲んでいたのに、まだ飲むつもりだろうか。
その割には、食事をとっているのをあまり見ていない。
あの男の身体はきっと、紅茶で出来ているに違いない。
「眠たくなくて。」
私がそう答えると、リヴァイ兵長は何か考えるようなそぶりを見せた。
そして、不思議なことを聞いてきた。
「お前、トロスト区では、事務の仕事をしていたんだったな。」
「そうですけど…。それがどうしました?」
「ちょうどいい、ついてこい。」
「え?ちょっと、待ってくださいっ。」
意味も分からず、でも振り返ってはくれないリヴァイ兵長の背中を慌てて追いかけた。
こんな自分勝手な男、追いかけなければ、よかったー。