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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第165章 ◇第百六十四話◇嗚咽【運命の決戦編】


リヴァイが寝室に入った途端、甘い果物の香りが鼻の奥を刺激した。
一緒にいるときは気づかなかったけれど、彼女の香りが寝室に染み込んでいたらしい。
何も、がいなくなってから気づかなくてもいいのに、彼女がいないからこそ、分かってしまったのだろうから、そこを嘆いてもどうしようもない。
早くベッドで眠ってしまいたくて、リヴァイの足は速くなる。
そして、2人で何度も抱き合って、一緒に夜を越えて朝を迎えたベッドの前で立ち止まる。
あぁ、この部屋には、この世界には、が溢れすぎているー。

『私、幸せです。リヴァイ兵長がいるだけで、幸せ。』

『約束ですよ。私、リヴァイ兵長が地平線を眺めるとき、隣にいたいです。』

『他の人と結婚するのも、リヴァイ兵長が他の誰かの恋人になるのも、嫌です。
 そんなの、想像しただけで苦しくなります。
 だからもう…っ、二度と…っ、そんなヒドイこと、言わないで…っ。』

『リヴァイ、生まれてきてくれて、ありがとう。』

ありとあらゆる記憶が一気にリヴァイの頭に蘇る。
に惹かれて、それがもう抗えないほどの愛だと気づいたときにはもうひどく傷つけてしまっていた。
それでも、は受け止めてくれた。
いつだって深く優しい愛で、抱きしめてくれた。愛させてくれたー。
彼女はいつも幸せだと笑っていたけれど、きっとそれ以上に、幸せにしてもらっていた自信がある。
たくさん泣かせた。たくさん怒らせた。たくさん傷つけた。そして、たくさん愛されたー。
がいつものように微笑んでいるんじゃないか。
そんな願いを込めて、ベッドに触れる。
皴ひとつないシーツは、ひんやりと冷たくて、最後に重ねたの唇を思い出した。

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