【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第162章 ◇第百六十一話◇2人の人類最強の兵士【運命の決戦編】
作戦の内容は新兵達にも伝えられた。
エルヴィン団長の指示によって、旧リヴァイ班だけは騎馬特攻には参加せず、四足歩行の巨人を探し捕らえるという任務が課せられた。
短くなった私の髪を見て、新兵達は驚いていたし、そんな子供騙しの作戦で命を無駄にしたくはないと喚いた。
それでも、エルヴィン団長の鼓舞でなんとか、人類のために死ぬことを受け入れた。
あぁ、本当に、なんて最悪な世界なのだろうー。
私は、約束したのにー。
「…。」
リヴァイ兵長が私を抱きしめる。
最後の温もりを、必死に体に覚えさせようとしているみたいに強く、強くー。
どうして、私はいつもこうなんだろう。
リヴァイ兵長を苦しめてばかりいる。
そして、これからまた、私は彼に地獄を見せようとしている。
絶対に死なないと、リヴァイ兵長を残して死なないと、約束したのにー。
「大丈夫ですよ、リヴァイ兵長っ。私、死にませんからっ。」
リヴァイ兵長の肩を持って、引き剥がした。
離れたくなくなりそうだった。
もっともっと一緒にいたいと我儘を言ってしまいそうだった。
このままだと、私は泣いて縋ってしまいそうだったー。
「約束、したでしょう?」
ぎこちない笑顔が、自分でも分かった。
それなのに、リヴァイ兵長は泣きそうな顔で、でも、とても優しく微笑んでくれた。
「あぁ、そうだったな。信じてる。」
リヴァイ兵長が、私の髪を撫でる。
まだ慣れない、きっと死ぬまで慣れることはない短い髪を指に絡めてー。
震える指で、とても優しく、私の大好きな仕草でー。
少し離れたところから、エルヴィン団長の指示が飛んだ。
さぁ、私にとって最後の作戦が始まるー。
「リヴァイ兵長、いってらっしゃいのチューください。」
「…仕方ねぇな。」
私達は、お互いに下手くそに笑って、下手くそな冗談を言って、唇を重ねた。
これが最後のキスにならないことを願いながらー。
これが最後のキスだと、思いながらー。