【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第18章 ◇第十七話◇歓迎会【調査兵団入団編】
恐縮しているわけではなく、本当にそういうつもりじゃなかったから礼はいらないと言っている私の気持ちを察しようとするわけもなく、あの駐屯兵は、また大げさにトロスト区での私の実力を褒め称えだした。
ピクシス司令もあの日の私を見ていたと聞いている。
ということは、今から考えると恥ずかしい立体起動の操作や巨人の討伐している姿を見ていたということだ。
それを、「精鋭にいてもおかしくない実力に見えたね!」「おれの目に狂いはなかった!」とかなんとか、適当なことを言って大げさに褒めたりしないでほしい。
恥ずかしいことこの上ないので、駐屯兵の口を両手で塞いでおいた。
ピクシス司令に、元気がよくてよろしい、と笑われてしまった。
「そうか。君はあの日からそんなに凄かったのか。」
「いえ、そんなことないんです。私はただ―。」
「あの日、あの場所に君がいてくれたら、もしかしたら…。」
さっきまで、背筋を伸ばし、堂々とした雰囲気を醸し出していたリコさんは、なぜかとても悲しそうに目を伏せた。
今にも泣いてしまいそうな彼女は、さっきまでは兵士だったのに、今はか弱い女性に見えた。
「どうかしたんですか?」
「え?あ、いや!なんでもないよ。
さぁ、今日は無礼講だ。楽しいお酒の席にしよう。」
そう言って、リコさんは乾杯を求めてきた。
何かを誤魔化されたのは分かったけれど、それ以上、追及してはいけないことも分かっていたから、私は彼女のグラスに自分のグラスを重ねた。
もしかしたら、そこには、リコさんにとって大切な人のグラスが一緒に重なる未来もあったのもしれない。
そんなことを思いながらー。