【文スト】Vanilla Fiction【江戸川乱歩】
第1章 序
今年、二月十四日。ヨコハマにて。
一家惨殺事件発生。
幼い娘の目の前で、祖母、父、母、姉の計四人が死亡。死因は出血多量によるショック死。鋭利な刃物で全身の動脈が切り裂かれていた。
五年前からヴァレンタインに起きている一連の事件も同一犯である可能性が高い。
犯人は単独で犯行を行い、娘は家族を殺された記憶で苦しめるためにわざと生かしたと供述。
精神鑑定の必要があると見られる。
新聞や報道番組、週刊誌などはこの事件を『ヴァレンタインの悲劇』と見出しをつけ、精神的苦痛により入院中の被害者遺族に接触を試みている。
なお、事件はすでに解決しており、その際武装探偵社の江戸川乱歩探偵が臨場している。
これをもって、報告書とさせていただく。