第1章 さよならの代わりに
以前、彼女に問うたことがあった。
死ぬのが怖くないのかーと。
あまりに、周りを優先する闘い方をするから。
「リヴァイ兵長知っていますか?
人は何度も生死を繰り返すらしいです。そして、前の人生で出会った人と、次の人生でまた出会える。
だから、私と兵長も今のこの人生より、ずっと前に出会ってるんだと思います。」
目を伏せ、懐かしむように言葉を紡ぐリリーは、まるで前世の記憶があるような、そんな表情をしていた。
「死ぬのが怖くないというと嘘になります。
それでも、兵長とそして兵団のみんなとまた次の人生で出会える。
だから、私はさようならじゃなくて、またねと言いたいんです。」
「甘いお前らしいな。だが、そういう考え方も悪くねぇ。」
本当にそう思った。
この世界は残酷だが、次はきっと平和な世界で出会えるのだと思うと、救いがある——。
「ふふ、その言い方も兵長らしいですよ。」
リリーは目を細め、小さく口元に笑みを浮かべた。
「だからといって、庇って自分が死んじまったら元も子もないからな。」
「わかってますよ。そこは気をつけますので。」
死ぬな——。
本当に伝えたい言葉は、口に出せなかった。
あぁ、このときそう伝えておけば…。
あいつは————。