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進撃の巨人SS詰め合わせ(作者まりも)

第2章 秋の散歩(おまけ/リヴァイ目線)


「・・チッ!人の気も知らねーで」
リヴァイは抱き合う二人を遠目にぼやいた。
「兵長、いつまで団長がいらっしゃる方向とは逆を警戒すればよいのでしょうか?」
「やはり、団長を探しに行った方が良いのでは?」
なぜ自分たちは警護対象の団長がいる方向とは逆を向かされているのか、一体団長は草木しかない場所に何をしに行ったのか。
口々に疑問の声を上げる兵士達にリヴァイは言った。
「俺がいいって言うまでこっちは向くな。こっちは俺が見る」

憎らしいほど何食わぬ顔で2人は戻ってきた。
いや、涼しい顔をしているのはエルヴィンのみで、アイツはポーカーフェイスを気取りつつも頬を上気させている。
「リヴァイ、すまなかったな」
すまないと思っているのは本当のようだ、下がった眉を見ればわかる。
「・・問題ない」
当然のように答え、部下たちを元の位置に戻らせた。

「団長、どちらに行かれていたんですか?」
エルヴィンは困惑する兵士達には「散歩だ」とだけ答え馬車に乗り込もうとした。説明なんて出来るわけないのだろう。

馬車は再び調査兵団本部に向けて出発した。
それぞれ太陽が落ち、暗闇が訪れる静寂の時間を楽しんでいるようだ。先ほどと変わった点は、エルヴィンとアイツの距離だ。
早く互いの身体の距離を縮めたい、という雰囲気が申し訳程度に開けられた隙間から漏れでている。

「エルヴィン」
思い出したように名を呼ぶ俺に、エルヴィンは目線で答えた。
「お前の誕生日だな。おめでとう」
さりげなく口に出してはみたが、奴のことだ。ずっと言うタイミングを伺っていた事はバレているだろう。
「ありがとう。リヴァイ」
暗闇で顔は見えなかったが、笑っている事くらいはわかった。そして、いつの間にかアイツの手を握っていることも。
エルヴィン。お前が幸せなら、それでいい。

【終】
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