第153章 真実(後編)<弐>
時は戻り、産屋敷邸では。
「ウタカタノ、花」
ワダツミの子から告げられた言葉を、あまねは繰り返した。
「ウタカタノ花は寄生した人間を変異させる、ある種の災厄です。寄生した人間の細胞を変異させ、花自身が生きるための苗床にする事。ワダツミの子と言うのは、ウタカタノ花に寄生された人間の成れの果てです」
蜜璃は勿論、ワダツミの子の調査をしていた宇髄も、この事は知らなかったのか青ざめていた。
「ワダツミの子は、鬼と同様元は人間だったということですか?」
あまねの言葉に、ワダツミの子は頷いた。
「鬼とは異なり、ウタカタノ花には人の細胞を瞬時に変異させる力はない。宿主の体内で根を張り、長い時をかけて細胞を変異させていきます。鬼を探知することができる者たちが、ワダツミの子を人間と誤認するのはそのためだ」
ごくりと、誰かが唾をのむ音が聞こえた。
「他にもワダツミの子が人と異なる点が三つある。だが、この特性が現れたのは、ウタカタノ花が鬼を脅威として認知してからの話になる」
ワダツミの子は言葉を切ると、深呼吸をしてから語りだした。