第124章 招かれざる客<参>
「ヒョッ」
不意にどこからか声がして、少し前の草むらががさりと音を立てた。
それと同時に、壺がひとりでに動いて草の影から出て来た。
「よくぞ気づいたなぁ。さては貴様、柱ではないか?」
壺の中からにゅるりと何かが伸びあがるように飛び出て来た。
全身から人の腕のようなものを生やし、目や口などの位置が滅茶苦茶な異形の姿をした鬼だった。
「そんなにこのあばら家が大切かぇ?コソコソと何をしているのだろうな?ヒョッヒョッ」
そのあまりの醜悪さに刀鍛冶師達は震えあがり、無一郎は表情を崩さずに見据え、汐は思わず吐き気を催した。