第9章 毒を探る
ルシエトは王室で他の官僚と顔を突き合わせていた。
ルシエト以外は皆、不安げに怯えた顔をしていた。
「王っ、宮廷内の警備はどうなっているですか」
「王を責めるのはお門違いであるぞ。
警備は軍部の役目だ」
「しかし、命令を下すのは王であろう」
責任の所存を口々に喚く。
王も渋い顔で黙っている。
ハァァ〜……
ルシエトがこれみよがしと、盛大にため息をついて見せる。
「大の大人がみっともありませんね」
ルシエトを時に大人扱いし、邪魔になれば子供扱いし、必要とあらば王子なのだから、と担ぎだす、汚い大人を、
ルシエトは嘲笑うように、大人扱いした。
「何をそんなに怯えているのですか。
恨みを買って殺されるかもしれないほど、
身に後ろ暗いトコロでもあるのですか?」
ルシエトの言葉に、一同、一斉に押し黙った。
クククク…とルシエトだけが失笑する。