第8章 最後の夜

快楽を欲しがる身体はすでに言う事を聞かない訳で、軽々しく身を反転させられたかと思うと 上半身をベッドに倒され 後ろから腰を引かれる。下着を下ろされ取り捨てられた。

「やあ……待って……っ！」

生々しく秘部に押し付けられる挿入時の圧迫感にぎゅうと目を瞑る。繋がることを潜在意識で求めてはいた、だが いきなり後背位とは想定外で少し冷静になり理性に縋る。美結は必死にストップをかけた。

「イルミ…だめ 待って…っ」

「待てない。挿れるよ」

「だめ…ゴム、ゴムしてよ…っ！」

「ゴム？避妊具？」

「そ、そう…。付けてよ ちゃんと…っ」

四つん這いのまま振り返った。この状況と格好にどれだけの説得力があるのかは想像するだけ無意味であろう。
イルミは構うことなく 美結に腰を押し付ける。それを待ち焦がれた秘部は当然の如くイルミを飲み込み、より深くに誘い込もうとする。

「どれだけ焦らせば気が済むの？」

「やぁっ…！だめっ やめて」

「中には出さないよ」

「でも…っ…」

「うるさいね ミユは」

「…んぅ…っ！」

後ろから顔を取られ口内に指を埋められる。長い指が舌の上を伝い息苦しさを覚える、口を塞がれた思いだった。

「今日はオレのものなんだよね？」

「……っ、」

「大人しくしてて」

「んんっ……ん！」

意思とは裏腹に、身体は正直だ。
潤滑する胎内を押し進むモノの感触に身体がビクンと跳ねる。啼くような高い喘ぎの代わりに 舌に乗るイルミの指に固く歯が当たる。反射的に、手元のシーツをぎゅうと握り締めていた。


身体を押さえられ自由を奪われ、後ろから奥を突かれる。その度に腰を打ち付けられる音がする。敏感に狭まる秘部の中を無理やり動かれると まるで犯されているようで皮肉にも感度が増す。深くにまで響く重い刺激に涙が滲んでくる。
口元からは声とも言えぬ息が 唾液とともに溺れ落ちてくる。

「んっ…ふ、…っっ」

「……興奮してるの？」

身体を被せられ耳元でわかり切った事を意地悪に囁かれた。かかる体重に身体が崩れそうになる、狭い視界に黒髪だけがはらりと入ってくる。口内に指を詰め込まれていては答える事も出来るわけがない、必死に首を左右に振った。

「んっ…、んん…っ」

「……気持ちいいくせに」