人類最強が見つけたクソガキ【進撃の巨人/リヴァイ】
第5章 生きてく強さ
訓練兵団に入る前と比べれば、口調も外見も女だと分かるレベルになっているかもしれない。
それでもまだ「かもしれない」程度なのだ。
休みの日に私服で外に買い物に行っても店主に「安くしとくぞ坊主!」と言われることも多い。(ありがたく安くしてもらっているから文句は無い)
訓練中の行動にしてもそうだ、汗をかいたり泥が飛んで顔が汚れたとき、リリアや他の女の子達はタオルやハンカチで拭っているのに私は適当に袖等で拭うかヘタしたら風呂にはいるまでそのままだったりする。
そんな外見も言動もガサツな私を兵長が恋愛対象として見るなんてあり得ないと思う。
「じゃぁ、アーニャの気持ちはどうなの?
兵長に手を握られて、どうだった?
この前みたいに爆発した??」
最後は少し笑っていたけど真剣な表情にからかわれている訳ではないと思い、リリアの言葉を頭の中で反芻する。
私の気持ち…
「ずっと、ドキドキしてた。
熱でも出たのかって思うくらい顔が熱くて私らしくないって思った。
でも、どうしようもなかったんだよね。」
いまでも鮮明に思い出す事ができるあの時の気持ち。
いっぱいいっぱいで混乱していたはずなのに、煩いくらいの心臓の音や、顔の熱ははっきり覚えている。
巨人を殲滅する事を目標に生きてる人間が聞いて呆れる。
茶化したりすることなく話を聞いてくれていたリリアは呆れるでもなく、さっきみたいに怒る訳でもなく、自嘲気味に笑う私の心なんてお見通しって感じで馬鹿ね、と優しく笑った。
「大丈夫よ。アーニャは兵長への気持ちを認めたからって弱くなんてならないわ。
むしろ、私との出会いをそう言ってくれたように、兵長への気持ちもアーニャを更に強くしてくれるんじゃない?」
リリアの言葉に急に視界が開けた気がした。
男として生きてきた日々、巨人を初めて見たあの日の絶望、そして新しい仲間との出会い、その度に戸惑って悩んで、だけどその時の感情に逃げずに立ち向かったからこそ今の私があるんだ。
なのに兵長への気持ちは否定して無かったことにするなんて
私らしくない。
「ありがとう、リリア」
「いいのよ、私アーニャのそういう面倒臭い性格結構好きだもの」
可愛い顔でグサリと痛いところを突いてくるリリアにスイマセンと苦笑いするしかなかった。