第19章 ☆Story36☆ 分岐点
憲吾side
あの代替試合から約一週間ほどで俺と吾郎、2人揃っての
皇大学への推薦入学が決まった知らせが学校に届いた。
無事進学先も決まった俺たちは入学後にも遅れを取らないよう
さらに練習に励んでいた。練習や学校関係が充実した中、
気がかりは一つだけある……それはゆりのことだ。
ゆりとは、あの日から連絡を取っていない。
俺から何度か連絡を入れようとは思ったが
何を話題にすればいいか分からず連絡できずにいた……。
そんな中の今日、ゆりから電話が掛かってきた。
俺は丁度うちに帰ったところで一息つくところだった。
そんな中掛かってきたゆりからの電話、俺はすぐに出たが
ゆりの声はいつもより低く元気がないように思えた……。
「もしもし、ゆりか?」
『っ……うん、急に電話かけてごめんね!久しぶり……
ねぇ、今……大丈夫かな?』
「あぁ、さっきうちに戻ったところだから……どうした?」
ゆりの雰囲気は電話越しでも暗い感じが伝わってきた。
それと同時に、嫌な胸騒ぎも起きた。
『……大事な話があるの。』
「……大事な話?」
突然ゆりからの電話、嬉しいはずなのに怖い……
この先、ゆりから何も聞きたくないとすら思えてしまった……。
そんな予想は当たってしまい、ゆりが俺にに告げた言葉は……
『うん……憲吾、私たち……もう別れない?』
「っ…は……?」
『別れないか』というゆりの口から出た言葉、
俺は動揺を隠しきれなかった。
何でいきなりそんなことを……
『急にごめんね、いきなりこんなこと言って……でも私たち、
もうこれ以上一緒には居れないよ。』
「っ……意味、わかんねぇよ……
お前……あれから何があったんだよ……いきなりそんな事……」
『……私ね?
今日テレビ局の楽屋で、宙さんに抱かれた。』
「っは……っんだよそれ……どういう事だよ……!」
『……。』
『宙さん』というのはどう聞いても東郷宙のことだ……抱かれた?
ゆりはまた、俺以外の奴に……
でも犯されたってだけなら何で……それとも、北京の時みたいに
罪悪感を感じてゆりは……