第17章 ☆Story34☆ 代替試合
「っゆり……」
「っそろそろ行かないとだから……また、ね……」
(憲吾、本当にごめんなさい……でも、貴方を守るためにはこれしか……)
ゆりはその場から走り出し涼介達の元に戻っていった。
憲吾はただゆりの後ろ姿を見送ることしかできなかった。
「っ……」
(ゆり……お前は何に苦しんでるんだよ……
俺には、何もできねぇのかよ……)
消化しきれないまま憲吾は部屋に入った。
そしてそのままベッドに横たわった。
「っくそ……俺は、どうしたらいいんだよ……
あのままのゆりを信じるだなんて……」
(ゆりは、誰にも言えないほどの悩みを抱えてるのか?
なら、やっぱり東郷あたりが引っかかるが……)
もし本当に東郷が関わっているのだとしたら憤りを感じた。
「アイツは俺のことを『覚えた』と言った……
あのまま身を引くなんて到底思えない。アイツ、一体何を……」
そして車に戻ったゆりは助手席に座った。
「っ遅くなってすみません!」
「大丈夫だよ。お別れ惜しんでた?笑」
「まぁそんなところです(苦笑)」
「ゆりちゃんも、この後はまっすぐ帰って大丈夫?」
「はい、大丈夫です!」
(無理やり憲吾と別れちゃったけど、これからどうしよ……でも、
組織のことが解決するまでは憲吾と関わらないほうがいいよね……)
ゆりは暗い気持ちを隠しながら涼介に寮まで送ってもらった。
そして部屋に戻ったゆりはバッグを椅子に置くと浴室に向かった。
『ゆり、もうシャワー浴びるの?』
「うん、今日は早く入りたい気分なんだよね(苦笑)
あ、今日の夜ご飯はオムライスにするね!」
こうして浴室に入っていくゆり、
ドアが閉まったのを確認するとユウはキラに話しかけた。
『ねぇキラちゃん、今日のゆりちゃん少し変だよね?』
『アンタに同意。途中アリーナを抜け出してからおかしいと思う。』
『っだよね……ゆりちゃん問い質してみる?』
『でも、本当のことは言ってくれなさそう……』
『っゆりちゃん、あの時何があったんだろう……』
ゆりがお風呂から上がり2人は聞いてみたが
案の定ゆりが答えてくれることはなかった。